2011年03月06日

3/6ユジャ・ワン、電気文化会館(名古屋)

待ちに待った、ユジャ・ワンの来日公演。
いろんな演奏会に足を運んで、いろんな演奏を聴いたが、今日の演奏会はその中でも超弩級の衝撃だった。
きっと生涯忘れ得ぬ思い出となるだろう。

会場は名古屋・伏見の電気文化会館コンサートホール。
キャパ395のホールは満席。

紫のミニドレスにロングブーツ、クラシックの演奏会としてはあり得ないような露出度の高さでユジャ・ワンが登場し、思わずのけぞった。

のらりくらりとあらわれ、のらりくらりとお辞儀したあと、ちょこんと椅子に座る。
この脱力感が、きっとどこかで「のだめが出てきた」と書いていた姿なんだろう。

しかし演奏はもはや別次元のすごさ。
地味なはずのラフマニノフの「コレルリの主題による変奏曲」やシューベルトのハ短調ソナタ(D.958)が、音楽的に感興豊かに鳴っていた。

打鍵は男性ピアニスト以上であり、強音はホールいっぱいにがんがん鳴り響いたが、一切無機的にはなっていなかった。
テクニックはこれ以上ないほどであり、細かい音符まで完璧にきこえてきたが、それでもテクニックばかりが目立つことは一切なく、すべて音楽に奉仕しているのである。

目の前で起こっていることが、信じられなかった。
ひょっとすると、ユジャ・ワンって、僕の想像をはるかに超えた、天才じゃないんだろうか。

休憩をはさんで、後半はユジャ・ワンお得意のテクニカルな音楽。
スクリャービン初期の音楽の、詩情の豊かさと激しい部分の音楽のコントラスト。そして後期の音楽の独特の雰囲気づくり。表現力の多彩さに驚いた。

死の舞踏とカルメン幻想曲、ともにホロヴィッツの編曲で曲芸級の難曲だが、人間業を超えたテクニックは言うに及ばず、しかもそれが芸の域を超えて豊かな音楽になっていたところが驚きだった。特に後者はもはや開いた口が塞がらないほどであった。

アンコール4曲もその延長で、もはや数え切れないほど弾き込んだのであろう、超絶的なテクニックと優れた音楽性の中に、自在さと自信が満ちあふれていて、もはや想像しがたいような境地であった。

曲が終わるごとに、心からの拍手をおくりたい気持ちになった。おそらく聴いていたみんながそんな気持ちだっただろう。曲が終わるごとに拍手大喝采だった。

そんな演奏を繰り広げながら、その後にCD購入者特典のサイン会で見せた初々しい受け答え。近くにいた女性がため息をつきながら「ほんと、かわいいねぇ〜」と言うくらいのかわいらしさだった。

あれだけヒールの高い靴をはいて背の高さが僕より少し低めだから、実際は身長150cm台前半といったところだろう。
そんな小柄な人が、あれだけの強いタッチで音楽を鳴らすのだから驚異だ。

そして、あれだけの完成度の高い音楽を作り出すピアニストが、1987年生まれの23歳、というのだから驚異だ。
ユジャ・ワンは、近いうちにクラシック界を代表するピアニストになるだろう。実際に欧米ではそうなりつつある。日本ではまだマスコミが騒いでいないので彼女の存在は地味そのものだが、ブレイクは時間の問題かもしれない。

既に次回の演奏会を2013年4月に、同じく電気文化会館で開催する旨が告示されていた。
しかし2年後にキャパ395の狭いホールでコンサート企画して大丈夫なんだろうか。
今以上にファンが増えてチケットの入手が難しくなったら、ユジャ・ワンのコンサートに行けなくなるではないか。

以上、圧倒された体験だった。
また追記するかもしれない。
posted by aibo1972 at 22:06| 京都 ☔| Comment(2) | ユジャ・ワン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
本日、北陸からユジャワンのコンサートに行きました。
チケットの発売を心待ちにし、チケットを入手してからもこの日を本当に待っていました。

一人で行きましたので、この喜びを誰とも共有することができず、どなたかのブログに今日のことが載っていないかと探していてここにたどり着きました。

本当に素晴らしかったですね。私もピアノ弾きなのですが(と言えるほどでもないのですが)あの繊細なタッチと、洗練され考えられた世界観に感動しました。お衣装にはびっくりでしたが、ユジャワンの音楽は決して派手ではなく、考え抜かれ自分のものとなったとてもクラシカルな音楽観を感じました。

本当に、次回は入手困難となるのでしょうね。あまり有名になってほしくないような、でもみんなにも知ってほしいような、複雑な思いですね。

握手してほしかったですが、握手はお断りでしたね。今日ほど英語を勉強しておけばよかったと思った日はありませんでした。
この感動を、ご本人にもお伝えしてみたかったです!
Posted by はる at 2011年03月07日 00:01
コメントありがとうございます。

私も1人で足を運び、喜びを共有できる相手もいませんでしたので、せめてここに感動の一部でも、と書いた次第でございます。
本当に、あの演奏を多くの方に聴いてほしい、聴かずにいるのはもったいない、と思ったものですから。

遅れて会場を出ようとしたら、本人がサイン会に向かうために舞台からおりてきて、その際に会話や握手をした、という方も何人かいらっしゃいましたそうですが、うらやましい限りです。

欧米では最もチケットの確保しにくいピアニストの1人だそうです。あちこちコンサートで忙しいようですが、今度はぜひ関西にも、と願っている次第です。
Posted by あいぼ at 2011年03月12日 15:24
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